タイプ997は似て非なるクルマ?ポルシェ911GT3とGT3RSの違いとは

ポルシェ911GT3とGT3RS(いずれもタイプ997)は、記述上は「RSの有無の差」だけかもしれません。しかし、そこは多くの人がイメージするであろう、まったくの別モノのクルマという解釈をさせる魔力を秘めたポルシェマジックがあります。では、ポルシェ911GT3(以下、997GT3)とGT3RS(以下、997GT3RS)の違いはどこにあるのでしょうか?また、どれほどの違いがあるのでしょうか?

専用ボディカラーを持つ997GT3RS

視覚的にも分かりやすいのはボディカラー。997GT3RSは専用のボディカラーが用意され、そのどれもが往年のカレラRS2.7を思わせるような仕立てになっています。グリーン×ブラックライン、オレンジ×ブラックライン、アークティックシルバー×ブラックライン、アークティックシルバー×オレンジライン、ブラック×オレンジラインの他、ホワイトやガルフブルーにペイントされた個体も存在しているようです。ロールケージも、ブラックの他にオレンジにペイントされた仕様も存在します。わずかそれだけの違いと思いきや、RSを求めるユーザーにとっては「専用設定」はとても大きな意味を持つのです。

997GT3とGT3RSボディサイズを比較してみる

*各モデルのボディサイズ
・ポルシェ911カレラ(997型/前期):全長×全幅×全高:4425×1808×1310mm
・ポルシェ911GT3(997型/前期):全長×全幅×全高:4445x1808x1280mm
・ポルシェ911GT3RS(997型/前期):全長×全幅×全高:4460x1852x1280mm

数値上でも、997GT3RSの方が、GT3と比較して全長で15mm長く、全幅で44mm広いことが分かります(対カレラでは全長で35mm長く、全幅で44mm広く、30mm低い)。

*各モデルのホイールベース
・ポルシェ911カレラ(997型/前期):2350mm
・ポルシェ911GT3(997型/前期):2355mm
・ポルシェ911GT3RS(997型/前期):2360mm

数値上でも、997GT3RSの方が、GT3と比較して5mm長いことが分かります(対カレラでは全長で10mm長い)。

前後バンパーやフェンダーなどではなく、ホイールベースの長さまでや車高までもが違う(GT3とGT3RSは同じ)ことで、997GT3RSというモデルが、最もベーシックなカレラはもちろん、GT3よりも、低い重心および安定性を追求したモデルであることが伺えます。そして、意外なことに、997GT3とGT3RSのタイヤサイズ(F:235/35ZR19、R:305/30ZR19)およびエンジン出力(415ps/7600rpm)は同一仕様なのです。しかし997GT3RSには、専用のシングルマスフライホイールを採用することでエンジンのレスポンスが向上。さらに、ギア比もGT3よりもクロスレシオのものが選ばれており、エンジンのピックアップを体感できるようになっただけでなく、より鋭い加速感を味わえるのも、997GT3RSならではの特権であり、アドバンテージといえます。

同じ997GT3RSでも、D車と並行車は見た目が違う?

997GT3RSのD車と並行車では見た目が異なります。それはリアウイングの幅です。日本の法規の関係で、D車のリアウイングが左右でそれぞれ20mmほど幅が狭いのです。見慣れるまでは同じように映りますが、いちどその違いを認識すると、割と簡単に見分けることができるようになります(正規輸入車を示すポルシェジャパンのステッカーを確認する方法もありますが、見慣れるとリアウイングで判断した方が分かりやすくなります)。好みが分かれるところですが、より幅が広い並行車(こちらが本来の姿でもあるのです)が好まれる傾向があるようです。

当時の日本での価格差は、VWゴルフ約1台分?

997GT3の車両本体価格は1575万円。997GT3RSは1890万円(いずれもD車)。その価格差は315万円。VWゴルフ約1台分です。専用のボディカラー、カレラ4ベースのワイドボディ、アクリル製のリアウィンドウ、そしてRSの称号を持つオーナーの権利を得ること・・・。これを果たして妥当と思うか否か?ちなみに、991GT3車両本体価格は1912万円。991GT3RSは2530万円(いずれもD車)。その価格差は618万円。その差は997時代と比較しても倍近くまで広がっています。この傾向は、より顕著なものになると予想されます。

GT3RSの「RS」とは、のれん代なのか?それとも?

クルマそのもの、あるいはポルシェ911に興味がない人であれば、これだけの違いでVWゴルフ約1台分の価格差と聞いたら怒り出すかもしれません。その価格差を、何の躊躇もなく、むしろ当然のように受け容れて(?)契約書にサインをさせてしまうところがポルシェの恐ろしさであり、したたかな1面といえるでしょう。ポルシェ911の1台分の利益は100万円を優に超えるという説があります。GT3RSのような限定モデルであれば、より大きな利幅を得ているのは間違いないでしょう。

仮に、いまはのれん代だったとしても、10年、20年先には「クルマそのものの価値」として、997GT3とGT3RSの差は広がっていくものと予想されます。投機目的にされるようなモデルではないという認識を踏まえつつ、やはりRSの称号は伊達ではありません。既に、RSの名を冠した歴代の911の相場が高騰していることは、広く知られるところです。それは997GT3RSも例外ではありません。RSという名の文字は伊達ではないのです。

RSの名を冠すること。それはポルシェ911R(初代)に端を発する、時代ごとに進化を続けるレンシュポルトモデルの歴史の1ページを担う重要なモデルであることは、疑いようのない事実なのですから。

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